「つや姫」憲章

THE TSUYAHIME CHARTER

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お米はここまで美味しくなれる。

第一章 「つや姫」の定義

(一)
「つや姫」は山形県が開発した新しい水稲の品種名です(系統名「山形97号」)。
(二)
「つや姫」の特長は、見た目に美しく、食べて美味しく、病害虫に強く、栽培しやすいこと。四拍子揃ったこれらの特性こそ「つや姫」の身上であり私たちの誇りです。
(三)
「つや姫」は、米どころ山形県が総力を挙げ、科学的総合研究のもとに十年余にわたる品種育成(育種)に挑戦した成果であり、高品質・良食味米のひとつの結論です。
(四)
「つや姫」は品種開発チームの努力に加え、十万分の一という稀有な幸運の下で選り抜きました。また、「つや姫」のDNAは、いまや伝説となった「亀ノ尾」の一部であり、正統の系譜を受け継いでいます。

阿部亀治氏

「亀ノ尾」の育成者
阿部亀治氏

(五)
「亀ノ尾」とは、米づくりに生涯を捧げた山形県庄内の篤農家「阿部亀治氏(一八六八年〜一九二八年)」がおよそ百年前に幾多の苦労の末に育てた稲の名です。同氏は、この品種改良によって多くの名誉ある顕彰を受けています。以来「亀ノ尾」は近代日本の美味しいお米の始祖となり、米づくりに励む農家の尊敬されるお手本にされてきました。
(六)
「つや姫」の名称とアイデンティティ。山形県では、水稲「山形97号」の品種名を考案するに際して、県民参加を重視した公幕を実施しました。山形県知事を本部長とするブランド化戦略実施本部が熟慮検討して決定した名称が「つや姫」です。この名称には、このお米の特性がよく表されており、女性の好感度が極めて高い調査結果がでています。また、地域の願いと愛がこめられており、総合的に山形のアイデンティティを示しています。

収穫前の「つや姫」

蔵王を眺望する収穫前の黄金色の「つや姫」(上山市)

第二章 「つや姫」のおいしさ(商品性)

「つや姫」は日本人がお米に期待する美味しさのすべてを備えています。

(一)
精米された「つや姫」は、「美しいつやのある白さ」「ふっくらした粒」「姫の名にふさわしい美と品位」など、美味を直感させる粒ぞろいです。
(二)
炊きあがった時の白い輝き。一粒一粒が、存在感を示しながら馥郁とした香りとともに、「ごはん」としての食感を豊かに伝えてくれます。あたかも神輿を担ぐ人々のような善意と情熱の米粒の結集なのです。
(三)
口に入れたときの食感は言葉になりません。人は、ただひとこと「おいしい」と言ってほっと息をつき、すぐ笑顔に変わります。それは、満ち足りた表情、幸せの顔です。また、「冷めても美味しい」のも「つや姫」のすぐれた特長であり、人々を感嘆させます。事実は冷厳であり、事実は雄弁です。

つや姫

第三章 「つや姫」のおいしさの秘密

「つや姫」の高い完成度はどこから来るのでしょう。それは山形県独特の自然の恵みと農家の愛から来ています。
山形は北緯38度。出羽三山「羽黒山、月山、湯殿山」、その裾野に広がる豊かなブナの森。森から常時湧き出る極上の天然ミネラル水。四季それぞれの風と陽光、そして農家が長い時をかけて肥沃に育てた田の土。これら微妙な自然のバランスと摂理が「つや姫」の母体となっています。「つや姫」は、山形県の自然と県人の志、その両者の深いコミュニケーションが生んだお米の傑作です。

広大なブナ林(小国町)

雪解けのミネラル水を貯える、白い森、広大なブナ林(小国町)

第四章 「つや姫」の商品メッセージ

「つや姫」の価値を全国のご家庭や料理店、割烹、レストラン、ホテル、あるいは諸外国に正しく伝えていくために、以下に基本的なメッセージを用意します。

(一)
「つや姫」の商品スローガン
※「つや姫」のロゴとセットで使用します。
炊いてほれぼれ、冷めても美味しい。
おいしさ、つやにでる。
(二)
「つや姫」のキャンペーン・テーマ
うちの「つや姫」
「つや姫」に、家族の健康を守る主婦のイメージを重ねていきます。
(三)
「つや姫」の広告キャッチフレーズ
お米はここまで美味しくなれる。
山形の天恵ともいえる風土、県民の汗と努力、そのすべての結品を表現。
(四)
「つや姫」の総括的コンセプト=理念
・人は美味しいご飯に帰ってくる。
・日本人の幸せは、美味しいご飯に始まり、美味しいご飯に終わる。
・日本中の、何よりも「白いごはん」が大好きな人にお届けします。

※「つや姫」は山形県のプランド米であり、戦略に基づいたコミュニケーション活動が必要です。広報、宣伝、プロモーション、その他の活動において、メッセージ戦略の基本を理解し、足並みをそろえることが重要と考えています。

つや姫

第五章 山形県にとって「つや姫」が意味するもの

「つや姫」は山形の希望であり、牽引力です。

「つや姫」はいわゆる商品開発ではなく、価値創造の事業でした。そこに、「つや姫」が示す大きな意義と役割があります。「つや姫」の成功の第一歩は、これからの山形県、県民に多くのことを示唆していると思います。「つや姫」は単に「美味しいお米」というだけではなく山形県の文化的象徴です。農業における先輩県人の知恵を継承し、そこに今日的な意義と要件を加え、現代農業技術の粋を発揮して「とびぬけて美味しいお米」という新しい価値を創り上げました。

この開発のプロセス自体が、これからの時代を生き抜いていく地域の知恵であり、在り方への挑戦と思っています。「つや姫」は山形県人に生きる張り合いと自信を与えてくれる牽引力となるでしょう。まさに真のブランドであり、文化の力といえるのです。

第六章 「日本型食生活」への提案

「つや姫」の誕生には、これから地域を支えていく子ども達に「農」を通じて「食」の大切さを伝えていく大きな役割が期待されています。
日本人の食の原点は「ごはん」にあります。栄養バランスに優れた「ごはん」中心の「日本型食生活」を学校や家庭において実践し、伝統ある食文化を再認識することで、「農」への想いを馳せ、食文化の継承や食料自給率の向上に確実につながっていくはずです。

第七章 市民が幸せを実感し、希望の持てる山形県へ

時代の価値観はいま「市民の幸せ実感の実現」に絞られてきました。市民が不安なく、生きる喜びを実感できる社会、地域、国家、そして食の安全をはじめ、すべてに安心と安全の保たれる日常。市民が未来へ希望と喜びを持てる社会。いま、世界が目指しているのはこの方向といえるでしょう。

山形県もこうした世界の中にいます。私たちの進むべき方向性は、県民が誇りと喜びと希望を持って生きる新しい山形県の創設であり、その時、山形ブランドが導く力は実に大きなものがあると考えています。そして、いま、私たちは日本全土に誇れる山形ブランド「つや姫」の創出に成功したのです。
「つや姫」は我が家のお米であるだけではなく、同時に日本全国と世界に誇れる私たちひとりひとりのブランド。そして山形そのもののアイデンティティの象徴です。

直接このプランドに関わる仕事をしていなくても、山形県人であることによって、このブランドに連帯しています。私たちは自信を持ち、誇りをもって「つや姫」を語り、これからも山形の創造力と希望を発信していきましょう。

旧山形県庁舎「文翔館」

大正5年に設計された旧山形県庁舎「文翔館」。現在は郷土館に(山形市)