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奥田 政行 イタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」オーナーシェフ

山形県を牽引する存在。

デビュー前から「つや姫」を評価し、以降、精力的に国内外に「つや姫」の美味しさを発信し続けてくださっている、奥田シェフ。奥田シェフならではの感性でとらえた「つや姫」の魅力と、地元シェフならではの「つや姫」に対する思いをうかがいました。

Q.デビュー前から「つや姫」を評価していただいてきました。第一印象はいかがでしたか。

A.まだ「山形97号」のとき、求評用に試験場の職員が持ってきてくれました。すごく舌触りがよかったのを覚えています。人間は美味しいものを食べるとき舌の先を丸めて食べる習性がありますが、この米の美味しさは、いつまでもそうして食べていたいと感じるものでした。当時はコシヒカリ全盛期。当時、コシヒカリのもちもち感が良しとされていた時代ですが、この米にはコシヒカリとは違うものがあると感じました。

奥田 政行

Q.奥田シェフからは、「つや姫」を多くの料理人の方々に普及していただきました。特に世界の方にもその魅力をお伝えいただいたと思います。

A.コシヒカリは、箸でつまむのに向く、まとまる粘りがあります。対してつや姫は、もちもちもしているのに、一粒一粒がばらける感じもあって、フォークとナイフで食べるのにも向きます。さらに、コシヒカリより軽やかな食感でもあり、味わいも穏やかな米なので、油脂をはじめ、西洋の調味料や食材、何にでもバランスよく合わせられ、応用できるので、世界中で求められ人気になると確信しました。人を虜にする食材の特長は、①何にでも合わせられること、②合わせることで味が変わること、③飲み込んだ後に口の奥から風味を感じること。そのすべてを持っていると思いました。

Q.奥田シェフが招聘された世界の様々な厨房に持って行ってくださいましたね。

A.海外ではシェフは社会的な地位が高いです。彼らに「おいしい!」と言っているところをメディアに撮ってもらえたら、その良さが広がると思いました。注目してもらうための工夫として、ペットボトルに「つや姫」を入れることを思いつきました。海外での貯蔵性と、ペットボトルに紐をつけて背負えるようにしたことで、弟子が食材の一つとしてその「つや姫」ペットボトルを持ち歩く姿がより多くメディアに取り上げられて、「何あれ?お米?「TSUYAHIME」?」となり、大成功でした。そして、シェフたちは皆、舌先を丸めて「おいしい!」と言って「つや姫」を食べていました。

あと、実はそこに、日本を代表する料理人である村田吉弘さんもいらっしゃるので、村田さんに評価していただければ、「つや姫」の次の扉が開くと企てていました(笑)。実際に、村田さんが「うまいで!」と言ってくださり、村田さんのお店で採用してくださることにつながりました。さらに、このことが、当時無名シェフだった僕と村田さんが仲良くなるきっかけにもなってくれました。

Q.これからの「つや姫」にエールをお願いします。

A.お米の審査員を頼まれることもありますが、全国の各産地が「つや姫」を目標にしています。山形の人自身はそう思っていないと思うけれど、他県から見れば山形の人はPRが上手だともいわれます。でも「つや姫」、それを取り囲む山形の方々のポテンシャルは本当に高いと思います。地元山形の生産者にはぜひ、「つや姫」を生産していることを誇りに思っていただきたいです。また、「つや姫」にはまだまだ可能性があります。毎日の食卓で、「つや姫」を囲みながら、家族皆で自分たちの夢や可能性を語る、そんなごはん、毎日のエネルギーになってほしいと思います。世界に広がっていく「つや姫」のルーツはここである、という、山形県民の「誇り」であること、これからもそうあってほしいと思います。生産者には、自分たちの思いを世界に乗せて運ぶ「翼」だと思って、これからもがんばっていただきたいです。

Q.奥田シェフにとって「つや姫」とは?

A.「つや姫」がデビューしたころは、新しいお店を出して大変な時期でしたが、そんな時「つや姫」の人気が出て、お店も「つや姫」を食べにくるお客様で人気が出て、僕はすごく助けられました。
料理人としての創作意欲も大いに掻き立ててくれました。山形県の食材の豊富さは世界的にも稀有だと思いますが、それらを「つや姫」と、どんなふうに組み合わせたらおいしく表現できるかな、と考えて、いろいろなメニューができました。

だから「つや姫」は他の食材も牽引する、つまりは山形県を牽引する存在だと思います。そんな不思議なパワーを持つお米だと思っています。

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