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結城 和博 元山形県農業総合研究センター水田農業試験場 水稲研究科長

成功要因は、オール山形での取組み

山形県職員。平成10年からの「つや姫」の品種開発のキーマンです。今回は、長年水稲の品種開発に携わったブリーダーとして、「つや姫」の品種開発当時の印象等をうかがいました。

結城 和博

Q.「つや姫」品種開発時代の印象的なことは?

A.何よりも稲姿。稲刈り直前でも倒れず、美しい黄金色の稲穂で、田んぼでの稲姿が素晴らしかったです。「この稲なら農家の方に喜んでいただけるだろう」と品種育成の早い時期から思いました。
そのうえ、初めて食味試験をしたときは、とにかくごはんの白さとつやが抜群に印象的でしたし、口に含んでも甘みがあり、ふっくらとしていて、美味しさも抜群だと感じ、食味面でも多くの方に納得していただけるだろうと自信を持つことが出来ました。
食味試験は、静かな試験室で、味覚に全神経を集中して粛々と行います。近年は良食味品種が台頭していることもあり、食味試験もかなりハイレベルで、かつ差が出にくいものです。ただ、「つや姫」の初めての食味試験の際は、試験室を後にしたスタッフたちが「おいしいかったね!」などと珍しく口々にしていたのが印象的でした。実際、2年連続で「はえぬき」より有意においしいという評価が得られましたが、これは、かなり稀有なことです。穀物検定協会からも、特に「味」について極めて高い評価を得ることができ、品種化に向けてさらに自信がつきました。
ただ、当時は「コシヒカリ」以外の米はいらないとまで言われていた時代でしたので、「コシヒカリ」と同じ晩生品種だったことや、若干の欠点もあって、試験場内でも評価は賛否両論。最終的に「山形97号」として選抜したことはとても大きな挑戦でした。このような経緯もあったので、10年後となる現在の活躍については、期待以上だと感じております。

Q.今の「つや姫」の成功について思うことは?

A.育種家としてはポテンシャルの高い品種を選抜できたと思っていますが、その後も、さらに、消費者目線での「ブランド化戦略」という作戦をしっかり練っていただきブランド化は進められました。そして何よりも生産者の皆さんには、山形県民気質の勤勉さ、誠実さを持って栽培に臨んでいただいていること。皆でオール山形で取り組んだことが成功した要因だと思います。そして、「つや姫」がこれからも成功し続けるには、今の取組みの継続が必要だと思います。これからも、頑張ってほしいです。

Q.最後に「つや姫」をひとことで

A.田んぼでの稲姿も、炊飯したお米も、ほれぼれする、生産者、消費者、みなさまに喜ばれる品種だと思います。

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